ちゃらぽこの夏休み その1「品川みちを歩く」   

ちゃらぽこはこの夏、例に寄って(?)長めの夏休みにしちゃってましたのですが、べつに夏バテしてぐってりしていたわけではありません。はい、モチロン!!

ちょこちょこお楽しみの自由研究をしていました~♪
そのご報告をいたします(^^)

まずは8月13日に歩いた、品川みち。

品川みちというのは、府中に国府があった時代、府中と品川の港を結んでいたという古い道です。律令時代の道ですから、現在道として残っていても正確なルートは分からず、途切れてしまっているところもあります。

ぱきらは東海道や日光街道など近世以降に成立した街道は歩いたことがありますが、史料が多く比較的ハッキリと伝わり、現在でも「〇〇街道」と認識されて多くの人が行き来しているそれらの道とは、ちょっと勝手が違うわけですね。

現在は、荻窪圭氏の「東京古道散歩」という本にルートが紹介されています。ただし全区間は掲載されていません。
府中・大国魂神社の近くにある府中市の観光協会に行くと、趣味で調べられた方が作成された地図をいただくことができます。

今回は、本といただいた地図を見ながら府中から品川までの約30キロを実際に歩いてみました。

まずスタートは、府中の大国魂神社。
この近くに「武蔵野国の国府」があり、品川の港から国府へ物資を運んだのが品川みちだと言われています。またこの道は、多摩川に沿ったルートでもあり、近世になると青梅や多摩の山中で切った木を、筏に組んで川に流して江戸まで運び、その帰り道に筏乗りが利用しました。そのことから、「筏道」とも呼ばれています。
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大国魂神社から東へ、しばらくは旧甲州街道と同じ道筋をたどりますが、東府中の駅の近くで細い道に入ります。入口にこんな案内が。
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品川みちは、府中・調布・狛江という3市を通って東京23区に入り、世田谷区・大田区・品川区と進むのですが、前半の3市はこのような道しるべを立てて品川みちをアピールしていました。

また、東府中を過ぎたところ、線路を越えた後の道筋が複雑で地図を見ていたら、自転車でやってきた近所のおじさんが「どこに行くの?」と声をかけてくれたのですが、「品川みちを歩いています!」と答えたところ、「この道がそうだよ~、これはすごく古い道なんだよ~」と教えてくれました。

今となってはハッキリ分からない古道と言っても、地元の人には認識されていたりするんですね~(^^)

さてさて、線路を越えた先、道筋はこんな感じ。
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ハイ! 住宅街の細ーい道です。これが1000年の歴史のある道なんだよーと言われても、ピンと来ないかもしれませんね。(知らずに住んでいてある日突然分かったら、ビックリするだろうなぁ)

道幅は広くなったり狭くなったりしますが、こんなヒッソリとした住宅街の道がしばらく続きます。
ここが五街道を始め近世の道と違うとこかな、と思ったのは、完全な住宅街の細道となっていて、車通りが少ないところです。

近世の道路だと、まずは大幅に拡張された幹線道路となっていて、風情の残っていない道筋が多いんですよね。
また、少しずれて別の場所に新しい道やバイパスができ旧道となっても、幹線道路の抜け道として利用され、けっこうな量の車が通ります。近代に入ってから新道ができるまでの間に、微妙に拡張されている部分が多のですが、片側一車線・歩道なしと言ったように現代の幹線道路ほどの広さはなく、それでいてなまじ道が悪くなく幹線道路ほど混雑しないもんだから、車はわりとスピードを出して通るので、歩くのが大変な道が多いのです。

品川みちは、このような住宅街の道に入ったり、中盤以降は世田谷道や環八通り、中原街道などの通りに重なったりしながら進みます。地図で見た感じ、大通り以外は歩道もないくらい狭いことが予想され、前述のような、車をかわしながら進まなければならないような道を想像していたので、意外と歩きやすく快適でした。

ただし! 8月半ばのこととて、さすがに暑いので、水分チャージしながら行きますね♪
今年のお気に入りは、アクエリアスのミント味。ひんやりして美味しいのですが、冷凍ペットが出ていないのがネックで結局夏の間を通して数回しか飲まなかったんですけどね(^^;
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ハイ、アクエリアスをぐびぐび飲みながら先に進みます。
前にも触れましたが、府中・調布・狛江の市部は品川みちの表示を出しています。
市によってプレートのデザインはまちまち。「品川街道」とも「品川道」とも呼ばれていて、統一性はありません。こちらは狛江市の案内板。
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古い道だけあって道端には石造物が多く、素敵な庚申塔もあります。

こちらは狛江市の山谷庚申塔。右は宝永元年(1704)のものというので、300年前のもの。左は文化元年(1804)でこちらも200年前のもの。
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屋根つきのお堂ができたのは20年前とのことですが、きれいに残っています。

世田谷区に入ると、道は徐々に多摩川との距離を狭めていきます。
出ました! 道沿いにあるマンションの名前が、「シティハイム イカダ」!!
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たぶん筏道からとった「イカダ」でしょう!!
古くからの通りの通称を意識してつけた名前なのです。嬉しいなぁこういうの♪
(住んでいる人はなんでか知っているのかなぁ。オーナーさんはどうしてこの名前を付けたのかなぁ。)

さてさて、もう少し東へ。野川を渡り、さらに仙川を越えるとすぐ、道の脇に小さな流れが姿を表します。多摩川に流れ込む、丸子川という小さな川です。
六郷用水という用水路の一部で、江戸時代初めに小泉次大夫が指揮して開削をしたことから「次大夫堀」とも呼ばれているもの。それ自体を歩いても楽しそうな流れなのですが、ここで!!

なんと、品川みちは、大山みちと交差します!!
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大山道は、赤坂御門から始まり伊勢原市の大山山頂を目指す、大山参りの道です。現在の国道246号線に重なるルートですが、旧道部分が多いです。
歩こう歩こうと思いつつ、ぱきらは昨年11月に1回(20キロ弱)だけ歩いてそれっきりになっているのですが、ここはまさにその1回目で歩いた区間。
これが大山みちです。写真の奥の方から歩いて来て、この橋を渡って南下しました。
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まぁ、ルートを考えたら交差するのは当たり前なんですけどね(^^;
予期していなかったので(下調べが甘いのです!)、一人でかなり盛り上がりました。
こういう「以前に来たことのある場所との予期せぬ交差」みたいなのも、街道歩きや散歩の楽しみのひとつですよね。「なんか来たことあるな、ここ……」なんて。

さてさて先に進みましょう。現在の大山街道・国道246の大通りを越えた後も、道は相変わらず次大夫堀こと丸子川に沿って東へ進みます。
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するとここで、もうひとつの「なんか来たことある」ポイント登場!!
この狛羊??見覚えがあります!!
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ここは善養寺というお寺です。来たことある!と思ったのは、ちょうど2年前、2011年9月のちゃらぽこ散歩会。等々力渓谷を歩いたときに、このナゾの石造物のちりばめられたフシギ空間に立ち寄ったんですよね。参加された方、覚えてます? ぱきら、ここ忘れられないんですけど……。

丸子川の名前を聞いたときから「もしかして、あの辺を通るんじゃ…」と思っていたのですが、実はこの品川みちは、等々力渓谷の最南端を掠めるルート。2年前の散歩会で、等々力渓谷を出た後の古墳散策で通った道、あれが品川みちだったのですね~!!
(あれはキツかった……9月の残暑の中、等々力渓谷は気持ちよかったものの、そのあとのアップダウンの激しい古墳めぐり……。あの道でしたか~。)

でも、あの2年前の散歩会(たしか第6回目)は、突然参加者が増えた散歩会としても印象に残っています。それまで6、7人で歩いていたのが、突然16人というなかなかの大所帯になったんですよね。
大手の散歩団体さんから見ればかわいいものでしょうけれど、それでも狭い道を一列に連なって歩く散歩会メンバーを見て、「わぁわぁいっぱいいる~!!」と思ったものでした。

なんて個人的な感慨にも浸りつつ、そのうち丸子川ともお別れ。道は直角に近い角度で曲がり、宇佐八幡神社と古墳の脇を通る「寮の坂」という古い坂道を上って環八通りに出ます。田園調布を過ぎたところで環八と分かれ、幅細めの都道を経て中原街道へ。
ここらへんは、大通りの区間が続きます。
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環八通りはもちろん戦後に造られた新しい通りですが、部分部分で古くからの道を利用しています。このあたりは古地図アプリなどを見ながら歩いても面白い区間です。

洗足池を過ぎると、品川みちは北東へ向かう中原街道と離れ、真東に一直線に伸びる細い商店街に入っていきます。東急池上線の長原駅に続く小さな商店街ですが、これも古くからある道なんだろうなと思われるポイント。
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小さな、でも長い商店街を進んでいくと、四つ角にこんな古い道標がありました。
天保2年(1831)、「品川みちと、中原街道と池上道を結ぶ通称中通との交差点」と説明板にあります。
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市部では表示が(現代のものですが)出ていましたが、23区に入ってから「品川みち」の文字をほとんど見ていなかったので、これは嬉しかったです!
繰り返しますが、近世の道と違って確たる証拠はなく歩いています。(あ、地図を作った方や出版物を疑うわけではないんですけど、道標みたいなのもなかなかないですからね)
なので、ときどき出てくる旧道っぽいものや、その道の名前の書いてある道標なんかが出てくると、いつもより一層嬉しいです。

西大井の駅に着いたところで、この日はそろそろ夕方。あと少しでゴールではありますが、自宅で所用があり帰らなければならない時間となりましたので、続きは後日にします。


で、残りの3キロくらいの道を歩いたのが3日後。


西大井の駅を過ぎると道はいったん広くなり、大井三ツ又という、とても三ツ又くらいでは収まらないであろう、六分岐くらいしている大きな交差点に出ます。モチロン(?)ここで狭い商店街に入っていくのが旧道。
そこにはやっぱりほら、ひっそりと地蔵堂が。「三又地蔵尊」と呼ばれていますが、本当は十一面観音なんだそうです。
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え~っと、見ていたら、これまた地元の人が通りすがりまして、「写真撮りたいの? ホントはダメなんだけど、まぁ……いいよ」と……。どうしたらいいのか分からないので、一応、観音様の写真ナシです……m(_ _)m

商店街の細道は途中で途切れ、線路に分断されてしまうのですが、その広~い線路の踏切が、これまたその名も「品川道踏切」。
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そのまま広い通りを北東へ。仙台坂を過ぎて青物横丁駅付近で京急の線路を渡ると、道は東海道に出ます。手持ちの地図では、道はこのまま東海道を北上して北品川付近まで行き、なんとなくそのあたりが港ってことで終わっています。

そろそろゴールを検討するころになってきました。
品川みち、府中国府と品川港を結ぶ道とはいうものの、港はそこそこ広いでしょうし、このあたりは旧東海道よりも東はもともと全部海だった場所だし。ポイント特定しにくいなぁ……。

候補は東海道と交差する目黒川沿い、東海道から少しだけ入った場所にある荏原神社。
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「府中から品川」というルートを聞いたときに、まず思い浮かんだのは大国魂神社のくらやみ祭りです。くらやみ祭りでは、神職の人や役員さんが府中から品川に赴き、品川沖に出て、手や口を海水で清め、汐水を樽に入れて大國魂神社に持ち帰るそうです。
その時に寄るというのが、ここ、荏原神社です。(かつてはこの辺りが海岸沿いだったので。)
最初はそのルートが品川みちとして残っているんじゃないか、それで大国魂神社から荏原神社のルートを特定できるんじゃないかと思ったのですが、府中の観光協会のお話では現在は車で最短ルートを通って行くので、ルートは交通事情によって変わり昔の道筋は残されてはいないとか(^^;

どうやら品川みち=くらやみ祭りではないようです。

そのままもう少しぷらぷら歩いて北上し、北品川近くへ。
そうだ、このあたりに昔の海岸の石垣が残ってるって、前に東海道散歩会で教わった!!
そこをゴールにしようかと思ったのですが、石垣は工事中で見えず(^^;

それらしきところを探し、あともうちょっとでゴール……のおあずけをくらいつつ真夏の炎天下を探検。
よしここで、と思ったのは利田神社付近。ここは江戸時代の地図では「利田(かがた)新田」という入江に囲まれた半島のような部分で、神社の場所は手持ちの古地図アプリでも「利田弁財天」と書いてあります。

でもって、近くには海っぽいクジラさんが……。
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そんなこんなで、かなり強引にゴールしました~!

品川みち(推定)30キロ、なかなかに良い道でした。
実は「散歩会でみんなで歩くのにどうかな~ダメかな~」と思い、その調査でてってけ歩いてました。前にも書いた通り、道が狭そうなので散歩会の15人とか20人とかの団体で歩ける道かどうか……と思ったのですが、思いのほか歩きやすい道でしたので、いけそうです(^^)

なお、この後、品川の街道文庫さんへ。ご主人が品川みちにも詳しいと思って、ルートの相談に行ったところ、ご主人いわく、ぱきらが歩いてきた道は品川みちと言われている道筋の一つではあるけれど、唯一確実な品川みちなのかどうかは確証はなし。(というか、どちらかといえば否定的。)
当時の道は残っていないし、古くから使われていた道で品川に続く道を品川みちと言うなら、その一つではあるかもしれない。

すなわち!

「品川みちという道はないし、逆に言えばすべての道が品川みちと言える!!」と、哲学的な結論に至り、ぱきらの夏休みの自由研究の第1弾、品川みち歩きはこれにて(やっぱり強引に)終了しまーす(^^)

長文をお読みいただいたみなさま、ありがとうございました。
次もぱきらの自由研究を、たぶん……おそらく……そのうち書きます~。


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by osanpocafe | 2013-09-08 02:19 | 店主ぱきらのお散歩日記

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